史上最大のIPO(新規株式公開)が、いよいよ明日に迫りました。イーロン・マスク率いるSpaceX(スペースX)が2026年6月12日、ナスダック市場にティッカーシンボル「SPCX」で上場します。公募価格は1株135ドル(約21,600円)、企業評価額は1兆7,500億ドル(約280兆円)、調達額は750億ドル(約12兆円)。これまでの最大記録だったアリババの250億ドルを3倍以上も上回る、文字通り「桁違い」の規模です。X(旧Twitter)では「ついにこの日が来た」「宇宙株が身近になる」と投資家の興奮が溢れています。
SpaceX IPOの基本スペック
まずはIPOの全体像を数字で把握しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場日 | 2026年6月12日(木) |
| 市場 | ナスダック(NASDAQ) |
| ティッカー | SPCX |
| 公募価格 | 135ドル(約21,600円) |
| 売出株数 | 5億5,560万株 |
| 調達額 | 約750億ドル(約12兆円) |
| 時価総額 | 約1.75兆ドル(約280兆円) |
| マスク氏の議決権 | 82%超を保持 |
| 個人投資家配分 | 最大30%(通常の3倍) |
注目すべきは個人投資家への配分比率。通常のIPOでは5〜10%程度しか個人に回りませんが、マスク氏は最大30%をリテール(個人)に配分する方針を打ち出しました。「一般の人も宇宙の株主になれる」という理念が込められているのでしょう。SNS上の投資家コミュニティでは「これまでの大型IPOとは次元が違う」「NISAで買える宇宙株が出るとは思わなかった」といった反応が相次いでいます。
日本から買える証券会社と申込方法

古くから米国IPOに日本の個人投資家が参加できる機会はほとんどありませんでした。しかし今回は異例の3社体制で募集が行われています。実際にSBI証券のアプリを開くと、トップバナーにSpaceX IPOの案内が大きく表示されているのが確認できるでしょう。
取扱い証券会社
- みずほ証券 — 米国みずほ証券が幹事参画、国内窓口として募集
- 楽天証券 — 6月5日11:00〜6月12日6:00まで抽選申込受付
- SBI証券 — 6月5日〜6月11日10:59まで申込受付
いずれも1株単位で申込が可能。1ドル=160円換算で1株約21,600円のため、新NISAの成長投資枠(年間240万円)でも十分に購入できる水準です。日経新聞(2026年5月28日付)でも「みずほ・楽天・SBI証券で募集、NISA対象」と報じられました。
申込時の注意点
ダイヤモンド・ザイの分析によれば「上場日に飛びつき買いするよりも、初値が落ち着いた2〜3日後に買うか、長期保有前提で公募に参加するのがおすすめ」とのこと。過去の大型IPOでは初値が公募価格を大きく上回った後、数週間で調整する傾向があるためです。楽天証券の口コミでも「抽選外れても焦る必要なし、冷静に待つのが吉」という声が目立ちます。
S-1(目論見書)から見えるSpaceXの実力

SEC(米証券取引委員会)に提出されたS-1目論見書により、これまでベールに包まれていたSpaceXの財務内容が初めて明るみに出ました。Morningstar社の分析記事「6 Charts on SpaceX’s S-1 Financials」(2026年5月公開)が詳細な図解を公開しています。
2025年通期決算のハイライト
- 売上高: 187億ドル(前年比+33%、約3兆円)
- 純損失: 49.4億ドル(約7,900億円の赤字)
- 調整後EBITDA: 66億ドルの黒字
純損失49億ドルという数字だけ見ると赤字企業に映りますが、これはxAI部門(AI事業)への63.5億ドルの先行投資が主因。本業であるStarlinkとロケット打上げ事業は堅調に利益を生み出している構造です。
3つの事業セグメント
| 部門 | 売上 | 営業利益 | 売上比率 |
|---|---|---|---|
| Starlink(衛星通信) | 114億ドル | 44億ドル | 61% |
| Space(打上げ事業) | 52億ドル | -6.6億ドル | 28% |
| AI(xAI) | 21億ドル | -63.5億ドル | 11% |
Starlinkは世界100カ国以上で400万契約を突破しており、年間44億ドルの営業利益を叩き出す「金のなる木」。ロケット打上げ部門の赤字はStarship(次世代超大型ロケット)開発費によるもので、完成すれば打上げコストが劇的に下がると期待されています。
Starshipの現在と未来

SpaceXの株価を左右する最大の変数は、次世代ロケット「Starship」の開発進捗でしょう。
2026年5月23日に実施されたFlight 12では、第3世代Starshipが初飛行し軌道到達に成功しました。しかしブースター(Super Heavy)の着水時にエンジン再着火の不具合が発生し、FAA(米連邦航空局)が飛行停止措置を発令。現在、SpaceX主導で事故調査が進行中で、次のFlight 13は2026年7〜8月頃になる見通しです(宇宙旅行.com 2026年6月9日更新)。
Starshipが完成すれば、1回の打上げコストは現行のFalcon 9の数分の一まで下がるとされています。大量の衛星打上げ、宇宙ステーション補給、さらには将来的な火星有人飛行まで視野に。投資家にとっては「いつStarshipが商業運用を開始するか」が最大の注目ポイントとなるでしょう。
リスク要因と投資判断のポイント

巨大IPOの裏には、相応のリスクも存在します。投資を検討するなら次の点を把握しておくべきです。
- マスク氏への集中リスク: 議決権82%超を一人が保持する構造。経営判断が事実上の独裁体制になる懸念
- Starship開発リスク: 飛行停止中であり、商業運用までのタイムラインが不透明
- xAI部門の巨額赤字: 年間63.5億ドルの損失。回収の見通しが立つまでに数年を要する可能性
- 規制リスク: FAA認可、各国の衛星通信規制、宇宙デブリ問題への対応
- IPO後の株価変動: 大型IPO直後は値動きが荒くなる傾向
一方でStarlinkの安定収益、打上げ実績では他社を圧倒するポジション、そして政府契約(NASA・国防総省)の厚い受注基盤は、長期投資家にとっての魅力。実際に米国の投資掲示板Redditでは「10年後に振り返れば今が安かった、と言われる銘柄になる」との強気な見方が多数を占めています。
よくある質問

SpaceXの株はNISAで買えますか?
はい、新NISAの成長投資枠で購入可能です。みずほ証券・楽天証券・SBI証券のいずれでもNISA口座での申込に対応しています。1株約21,600円のため、年間枠240万円の範囲内で購入できるでしょう。
上場日にすぐ買えますか?
IPO抽選に当選した方は上場日に公募価格で取得可能。落選した場合は、上場後にマーケットで初値をつけてからの購入となります。初値は公募価格を上回ることが多いですが、初日の値動きは激しくなる傾向があるため注意が必要です。
SpaceXの競合企業はどこですか?
ロケット打上げではBlue Origin(ジェフ・ベゾス)、Rocket Lab、ULA(ボーイング+ロッキード合弁)が競合。衛星通信ではAmazonのProject Kuiper、OneWebなどが挙げられるでしょう。ただし打上げ実績ではSpaceXが圧倒的な首位にあります。
SpaceXの売上の6割を占めるStarlinkとは?
低軌道に数千基の小型衛星を配置し、地上に高速インターネット接続を提供するサービスです。光ファイバーが届かない農村部・離島・航空機・船舶向けに急成長しており、世界100カ国以上で400万契約を突破しました。
日本円で最低いくらから投資できますか?
公募価格135ドル×為替レート(1ドル=160円前後)で計算すると、1株あたり約21,600円。証券会社によっては米国株の最低手数料が別途かかる場合があるため、約22,000〜23,000円程度を見込んでおくと安心です。
配当は出ますか?
S-1目論見書に配当方針の記載はなく、当面は無配当の見込み。Starship開発やxAI事業への再投資が優先されるため、インカムゲイン目的には不向きかもしれません。株価上昇によるキャピタルゲインを狙う銘柄と考えるのが妥当でしょう。
宇宙ビジネス時代の幕開けに立ち会う

SpaceXの上場は、単なる一企業のIPOではなく「宇宙ビジネスがメインストリームの投資対象になった」ことを象徴する歴史的イベントです。
1969年のアポロ11号月面着陸から57年。かつて政府機関だけの領域だった宇宙開発が、個人投資家でも参加できる投資対象になった意義は計り知れません。
もちろん「史上最大のIPO」だからといって必ず利益が出るわけではないでしょう。リスクを理解した上で、自分の資産配分とリスク許容度に見合った判断が求められます。SBI証券や楽天証券でIPO抽選に外れた方も、上場後に株価が落ち着いたタイミングで改めて検討してみる価値はあるかもしれません。
